当社 CEO からのメッセージ

社長兼 CEO の Sean Keohaneによるサステナビリティへの取り組みに関するアップデート

Sean CEO

2022 年は世界経済にとって困難な年でした。私たちは、高いインフレ率、世界経済の減速、ウクライナ戦争、新型コロナウイルス感染症による封鎖方針に伴う中国の台頭などに直面しました。キャボットのチームは、この難局を無事に乗り越えましたが、これは、「未来のための創造」戦略の推進力としてのサステナビリティに対する戦略的フォーカスを維持しながらの実行でした。 

この年、当社は引き続き事業ポートフォリオを強化するとともに、お客様のサステナビリティに関する優先事項をサポートする分野の技術革新に注力しました。こうした取り組みに基づき、キャボットは、より持続可能な未来を実現する多くの変革的な成長チャンスを十分に活用できるポジションにあると考えています。 

電気自動車への移行における優位性

自動車業界は内燃機関から電気自動車 (EV) への変革期を迎えています。この移行は、モビリティ分野の脱炭素化という要請に対応するものですが、キャボットは革新的な導電性添加剤材料を通じてこの市場で重要な役割を果たしています。導電性添加剤は、バッテリーの充電/放電時に電子が流れる導電経路を生じさせるものであるため、バッテリーの化学反応に不可欠な部分です。バッテリーは、カスタマイズされた導電性添加剤なしでは機能しません。具体的には、当社の幅広い導電性添加剤ポートフォリオと、導電性添加剤の最適ブレンドを配合する能力により、お客様独自のバッテリーの化学的性質に合わせたソリューションをカスタマイズできます。 

2022 年に、当社の導電性添加剤ポートフォリオにおける戦略的な生産能力増強を継続的に実施しました。当社では、現在、導電性カーボンとカーボンナノチューブ (CNT) の生産能力を増強するプロジェクトを進行中です。こうした取り組みにより、生産を最適化し、バッテリー関連のお客様の成長への期待にさらに対応できるようになります。

米国と欧州で EV の需要が拡大し続けているため、バッテリーのサプライチェーンの地域化が自動車業界の戦略的優先事項となっています。キャボットは、重要材料を安全に供給しながらお客様の新規電池工場をサポートするための製造資産、地域の技術センター、商業/技術リソースのグローバル拠点を通じて、独自のバリュープロポジションをお客様に提供しています。地域への展開を深め、お客様の成長計画をサポートする取り組みを行うにあたって、当社では、米国での導電性添加剤の生産能力を増強するために約 2 億ドルを投資する計画を発表しました。さらに、当社は、お客様のサポートと、欧州内でのバッテリー用途の技術革新の加速に重点を置いた新しいバッテリー用途技術センターをドイツに開設しました。将来に目を向けて、キャボットは、EV への変革的なモビリティ移行と、この移行における自社の役割を楽しみにしています。

持続可能な補強材料への進化プロセス

持続可能な開発への取り組みは、環境フットプリントを削減し、低炭素の未来への移行をサポートするための、新たな製品やプロセスを開発する取り組みの原動力となっています。電池材料などの成長チャンスに加えて、当社では、お客様の期待に応える方法を革新することにより、ポートフォリオ全体でのサステナビリティ推進に引き続き取り組んでいきます。当社では、今般、持続可能な補強カーボンを高度化する技術プラットフォームである EVOLVE® Sustainable Solutions を発売しました。 

EVOLVE Sustainable Solutions プラットフォームは、循環バリューチェーンから回収された補強炭素、再生可能材料やバイオベース原料から作られた補強炭素、産業用脱炭素技術の導入を通じて温室効果ガスの排出量を削減して作られた補強炭素を開発する手段となるものです。すでに多くのプロジェクトが進行中ですが、今後もさらに多くのプロジェクトが開始するため、当社では、お客様やサプライヤーと協力して、お客様のサステナビリティ目標に応える持続可能な補強炭素を産業規模で開発する取り組みをさらに進めていきます。

ネットゼロの未来への移行

当社は、約 20 年前にサステナビリティへの取り組みを開始しましたが、その過程で当社のゴールと目標は進化してきました。当社では、引き続き 2025 年サステナビリティ目標の達成に注力しながら、サステナビリティ移行に貢献するためのさらなる取り組みを行ってます。この目的を達成するために、当社は、2050 年までの全世界ネットゼロエミッションの達成という目標を発表しました。この目標は、サステナビリティへの取り組みの重要な部分ですが、ネットゼロカーボンの未来を実現するには、自社の努力と投資だけでは不十分であり、協力、技術革新、公共政策による支援が必要となります。この追求において、当社では、バリューチェーンを広い視野で捉え、他社と連携して業界全体に前向きな変化を起こすことに尽力しています。他社と協力することで、重要性の高い成果を達成し、より持続可能な未来をともに創造できると考えています。

困難な時代における実績

2022 年のサステナビリティ実績は、世界中のキャボットチームの熱意とコミットメントなしには達成できませんでした。共通の目的がチームの全員の動機づけとなりました。このレポートを通して、当社は、目的を達成するための取り組みや、当社の人材、製品、技術革新による日常生活の改善、より持続可能な未来の実現に向けた多くの事例を紹介しています。

当社のサステナビリティへの取り組みと進捗が外部機関から評価されたことを誇りに思います。こうした評価には、「アメリカの最も責任ある企業 2022」リスト (Newsweek 誌選定) に 3 年連続で選出されたこと、Investor’s Business Daily’s (IBD) 誌の「ESG 企業ベスト 100 社」に 2 年連続で選出されたことが含まれます。さらに、当社は、EcoVadis から最高評価 であるプラチナ評価を 2 年連続で受けました。このような受賞は名誉であり、当社チームの素晴らしい仕事が評価されたわけですが、同時に当社が継続的に自社の取り組みを進めるうえでの原動力にもなります。

最後に

地球を守るために、企業が国連の「持続可能な開発目標」をサポートするために積極的役割を果たさなければならないことは明らかです。だからこそ、当社では、国連グローバルコンパクト (UNGC) に誇りを持って署名し続け、サステナビリティプログラムの進捗状況を報告することに尽力しています。

より持続可能な未来を実現するための取り組みは、当社の戦略と長期的成功の中心部分です。お客様、投資家、社員、地域社会などのステークホルダーが、当社が責任ある行動をとり、環境の良き管理者となることを期待していることを当社は理解しています。当社は、クラス最高技術への投資、優秀な人材の獲得、責任あるビジネス慣行の遵守により、革新的ソリューションを提供することに今後も注力していきます。さらに、当社の成果と目標を共有することは、すべてのステークホルダーに対する当社の取り組みの重要部分であり、こうした取り組みに刺激を与えて、継続的なさらなる取り組みを後押ししていただいた多くの皆様に感謝申し上げます。

キャボットコーポレーションと、毎日の事業活動の中心であるサステナビリティへの取り組みに関心を持っていただき、ありがとうございます。当社の持続可能性レポートが、サステナビリティに対するアプローチと、サステナビリティの将来のゴールと目標に向けた進捗状況の理解に役立つ貴重なリソースとなれば幸いです。