当社の投資判断および成長戦略は、持続可能なビジネス慣行と、法律、規制および社内基準の完全な遵守に重点を置いて行われます。
堅調な財務実績は、当社事業の持続可能な成長、そして当社の将来的成功の鍵を握ります。当社の世界中のステークホルダーは、当社が経済的価値を生み出し、配分することによって、財務的コミットメントを実現することを期待しています。当社はこれに応えるべく、収益を長期的に 7~10% 増加させることに注力しつつ、同時に自由裁量フリーキャッシュフローの 50% を株主に還元しています。このアプローチに加えて事業成長のための投資を行うことにより、当社は必ずや市場リーダーとしての評判を維持し、お客様の進化するニーズに対応する上で有利な立場に立てるでしょう。
当社は 2022 年に堅調な財務実績を達成し、一株あたりの調整後利益2 6.28 ドル、営業キャッシュフロー 1 億ドルという記録を残しました。当社では、自由裁量フリーキャッシュフロー2 (DFCF) 393 百万ドルという記録を生み、2015 ~ 2022 年度に配当と自社株買いを通じて DFCF の 64% を株主に還元しました。2022 年に 319 百万ドルを投資し、資本と技術への 10 億ドル投資という 2025 年目標に向けて予定を上回る実績を達成しました。
「未来のための創造」 戦略に基づき、引き続き自社の強みを活用し、成長を促進する投資を行っていきます。当社は、中核市場での優位性確保と、成長可能性が大きい用途でのシェア拡大により、成長加速を目指しています。バッテリー材料と、成長可能性の高い電気自動車移行関連分野への投資機会に戦略的に重視しています。
当社は、車両の電化と定置型エネルギー貯蔵において重要な役割を担っています。導電性添加剤の完全なポートフォリオを持つ唯一の世界的企業として、キャボットは、電池材料市場の成長をサポートするための全世界のネットワークで生産能力を構築し続けています。当社では、最近、米国での導電性添加剤の生産能力の拡大に向けて約 2 億ドルを投資する計画を発表しました。また、欧州内においてお客様のサポートとバッテリー用途の技術革新の加速に特化した新たなバッテリー用途テクノロジーセンターをドイツに開設しました。
当社は、いくつかのカーボンブラック製造施設にて、排出制御技術に多額の設備投資を行ってきました。こうした投資は、中国の邢台市と米国の Louisiana 州 Franklin 市のプロジェクトですが、これにより、NOX と SOX の排出量削減により大気質を改善しました。さらに、米国 Louisiana 州 Ville Platte 市にて大気汚染防止/エネルギー回収システムプロジェクトの建設に着手しています。このプロジェクトは 2024 年完成を予定しています。
2018 年後半に、当社は、特殊カーボン事業サポートのため、中国の徐州市での戦略的買収を発表しました。この施設を一時的に休止し、SH&E、品質、サービスに関する業界をリードする当社基準との適合性を確保するための製造装置、プロセス技術、環境制御技術のメンテナンスとアップグレードを実施しました。2022 年 4 月 7 日に、当社は中国の徐州施設の操業を開始し、2022 年 5 月までに全ラインが稼働しました。徐州施設の立ち上げにより地域の需要と供給に合った生産能力と機能を提供でき、さらに、現在/将来のお客様からの特殊カーボン要件を満たす多様な製品ポートフォリオを柔軟に生産できるようになりました。さらに、当社ネットワーク内の生産能力を最適化して、バッテリー材料の成長を実現できました。
デジタル印刷用途向けのインクジェット市場の需要の高まりに応えるため、当社は、米国 Massachusetts 州 Haverhill 市のインクジェット製造施設における全世界向け水性顔料分散液の生産能力を増強しました。この施設では、新生産ライン拡張に加えて、製造装置やプロセス技術のアップグレードを含む資本拡張プロジェクトを実施しました。このアップグレードにより、業務効率が改善し、水の使用量が減り、インクジェット関連のお客様にさらに幅広い製品ラインを提供できるようになりました。